ピックアップ活動に物語を求める人種
僕は何年も前から、このピックアップ活動が、自分にとってはただの性欲の解消ではないと演繹していた。
僕には数年前から、美貌の「オンリー子」※界隈の用語
がいる。
僕は、運命の人を見つけ、一緒になってしまったのである。
だからこの点で、オンリーを探しているクラスタとはその価値基準が違っている。
さて、ある種の男にとっては、ピックアップ活動は性欲の解消だけではない。
ある美しい女がいる。
誰もが羨望の眼差しで見る、そんな美貌の女である。
この、美貌であって常識人でもあり、人間性にも優れた女が、あなただけに愛を告白して、
裸になり、あなたに抱かれることを待望している。
果たして男にとってこれ以上重要なことが、どれだけあるだろうか。
男の人生にとって、これ以上重要なことは、どれほどあるだろうか。
そして、こんな瞬間を体験せずに死んでいく男の人生とは、どれほどわびしいものだろうか。
さて、僕は、ピックアップ活動を通して、無数の女をみてきた。
美しい女、そうでない女。
モテる女、モテない女。
モテない女とも積極的に関わり、その生態を観測してきたのである。
モテる女も然りであるが、モテない女と関係を継続するのは、著しく簡単であるのに対し、モテる女は需要がすごいので、油断すると関係継続が破綻してしまうのである。
ピックアップ活動を介して、僕はモテない女の一人暮らしの部屋に何度もあがりこみ、
その人生を覗き見してきたのだ。
こんな趣味を、悪趣味という人もいると思う。
それはそのとおりである。
だが、ある特定の男にしてみれば、他人を、それも女を観察することがやめられないのだ。
どんな映画や本やゲームよりも、現実に生きる人間の人生がおもしろい。
僕はそんなふうに思うのである。
この現実に生きる人間の、葛藤、欲望、嫉妬、希望、絶望。
こんなにおもしろいことはない。
物語を求め、僕らは映画や本やなにかを傍観するが、現実の人間には、そんな作り話よりもっともっと面白く、愛憎一体した、不条理で、矛盾した、血の通った人間の物語があるのだ。
その、会社と家との往復のだけの人生に、
退屈した学校生活とネットの世界での自意識の発露に、
僕は生きた血の通った生き物としての人間の物語をみるのだ。
ではまた!